教育基本法第17条第2項に規定する教育振興基本計画を次のとおり策定する。
なお、この計画は、その中の目標や施策の根本となる部分が大綱に該当すると位置付けることができることから、当該計画をもって地方教育行政の組織及び運営に関する法律第1条の3第1項に規定する『北相木村の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱』に代えるものとする。
1.学校教育
1.現状と課題
平成26年度の小学校児童数は45名で、内訳は山村留学生14名・Iターン者22名であり村出身者は9名にすぎず、山村留学事業とIターン事業なしでは小学校の継続は困難である。
平成22年度に全校児童数が27人にまで減少し、小海小学校との統合の請願書が提出され議会で採択となった経緯もあり、児童数の増加に資する事業が必要となっている。
村出身の児童数が何人にまで減少したら、山村留学事業を廃止して近隣町村の小学校に統合するのかという議論も必要となってくる。
また、北相木小学校では民間の学習塾である『花まる学習会』と連携しており、今後どのように連携していくのかが課题となっている。
なお、中学校は昭和54年度に組合立の小海中学校に統合し、1学年100名を超える生徒が在籍していたが、今日では少子化に伴い1学年50名程度にまで減少し、部活動等に影響がでている。
2.今後の方針
村づくりの基本理念と目標を定めた『北相木村民憲章』の5項目の1つである『教養を深め、創造性豊かな文化の村をつくります。』の理念に基づいて、『強く豊かな人間性を培う教育、文化とスポーツの村』づくりを目標とする。
村づくりは人づくりであり、人づくりは次代を担う青少年から始めなければならず、心身ともに調和のとれた教育の各分野の振興を進める。
これを達成するためにも北相木村での小学校教育は不可欠であり、学力の向上を図るとともに、北相木小学校を存続させるために次の2事業を重点施策としていく。
(1)山村留学事業
昭和62年度から始まった山村留学事業は今年度で28年経過し、延留学生は255名となっている。
(財)育てる会に事業委託していた平成21年度までの25年間で、1年あたりの山村留学生の平均は8.9人。最大で1年14人であった。
平成22年度から村直営となりコンスタントに山村留学生を受け入れており、平成27年度はセンターでの受入れを過去最大の23人を予定しており、さらに27年度から展開される『親子留学』も1世帯で2人の留学生を予定している。
現在、平成28年度入学予定児童が1人であることから、低学年でも北相木小学校に入学できる『親子留学』を今後積極的に展開し低学年児童の確保に努めていく。
また、センターでの受入れも『花まる学習会』との連携により常にマックスである25人を確保し、1学年10人,全校で60人規模となるように努めていく。
(2)『花まる学習会』との連携
平成23年度から民間塾である花まる学習会と連携し『花まる授業』を取り入れたところ、児童の学習意欲に大きな変化が生まれ、学ぶ楽しさ・考える面白さを実感している。
また、関東を中心に16,000人の塾生が在籍する人気学習塾であり、平成27年度の山村留学の応募者の大多数が花まる学習会の塾生であったことから、今後も花まる学習会との連携を密にしていく。
なお、小学校での花まる授業にスムーズに対応できるよう、平成27年度からは保育園においても『花まる授業』を取り入れ、幼児教育の推進を図っていく。
以上のとおり、平成27年度から開始される『小さな村の大きな教育改革』により、北相木小学校を存続させ、小学校から北相木村に付加価値を生ませ、人口減少の歯止めとなり、北相木村の活性化に繋げていくことを最大の目標とする。
なお、Iターンの増加に伴い夫婦共働き家庭が増え、放課後及び長期休暇時の児童への対応が急務となっており、保護者が安心して働くことができる環境の整備を早急に検討し実施していく。
また、平成元年度から続いている長崎県・新上五島町との体験・交流学習は小学6年生にとってはかけがえのない体験・交流となっているので、今後も継続していくように努める。
なお、『平成27年度・北相木小学校のグランドデザイン』及び『北相木小学校における花まる学習のビジョン』については別紙のとおりとする。
中学校については、生徒の減少に伴う対策を組合教育委員会及び組合議会等で検討し、小規模校でなければできない特徴ある中学校教育により、学力及び心身の向上を図っていく。
2.社会教育
1.現状と課題
常に何かを学ぶことのできる環境が身近に整備されていることは、生きがいある人生を送るうえで重要な要素であるが、村の人口が減少の一途を辿っており、新しい社会教育団体の育成が困難である。
また、公民館学級講座や女性学級も積極的に開催しているが、受講者数も減少傾向で、固定化が見られる。
2.今後の方針
Iターン者の増加に伴い、村民のニーズに変化が表れており、今後はニーズを把握し新たな学習機会の拡充に努めていく。
また、郷土学習として、高齢者が伝統的な生活技術や遊び等について伝承する取り組みの実施について、高齢者の生きがいづくりの観点からも推進していく必要がある。
3.スポーツ
1.現状と課題
スポーツの拠点施設は、村民交流スポーツセンター『グリーンドーム』、グラウンド『サングリーン広場』、屋内ゲートボール場3か所、マレットゴルフ場2か所等充実しているが、人口の減少により少年野球が村単独ではチームがなりたたない等、大きな影響を及ぼしている。
また、スポーツ育成団体も数が少なく構成員が固定化されており、盛んであったゲートボールにおいても会員の減少が著しい。
2.今後の方針
公民館で主催している『ソフトボール大会』『バドミントン・ソフトバレー大会』『マレットゴルフ大会』『村民運動会』は現在でも一定の参加者があり成果をあげているので、村民に大きな負担がかからない程度で各分館対抗形式での新規メニューの導入について検討していく。
4.地域文化の振興
1.現状と課題
国指定(史跡)を受けている栃原岩陰遺跡、県指定のメグスリノ木のほか、寺院・寺社建築や、栃原地区の獅子舞、箱瀬の滝・雪瀬の滝等の瀑布など、14件の村指定文化財があり、学芸員1名を配置している。
ソフト面では『縄文フェスティバル』等を継続的に実施しており、一定の効果をあげている。
2.今後の方針
栃原岩陰遺跡については、昭和40年以降発掘調査がなされ、貴重で膨大な量の縄文時代の遺物が出土しているが、正式な報告書が未刊行であり、その早急な刊行が望まれている。近年は遺物の整理作業も継続して行っているが、さらに作業規模を拡大し、平成30年までの刊行を目指す。
また、民族文化財指定を受けている『栃原の獅子舞』や、村の伝統行事である『かなんばれ』や『正月の子供獅子舞』・『十日夜』については、特に継承に努める必要がある。