7月16日の『信濃毎日新聞』でも取り上げて頂きましたが、栃原岩陰遺跡出土の土器片から、マメ科に属する種子圧痕が発見されました。
圧痕というのは、土器の表面にみられる小さな孔などを指し、これにシリコンゴムを流し込んで顕微鏡などで観察すると、植物の種などが含まれていることが分かってきたのです。
これは圧痕レプリカ法と呼ばれる研究で、これにより、縄文時代にマメ類(アズキやダイズの仲間)、シソ(エゴマ)など、食料にすることの出来るものが、彼らの身近にあったことが分かってきました。さらに、このような植物を栽培していた可能性も指摘されています。
北相木村教育委員会では、現在栃原岩陰遺跡の遺物整理作業を行っていますが、この度「明治大学黒耀石研究センター」と「土器種実圧痕研究グループ」の調査により、全部で6点のマメ科の種子圧痕が見つかり、そのうち2点はアズキ亜属とダイズ属であると分かりました。
土器は縄文時代早期のはじめ頃(およそ11,000〜10,000年前)のものと思われ、現在全国各地で見つかっているマメの圧痕としてもかなり古いものと予想されます。
今後の縄文時代研究で、注目されるかもしれません。
写真は、放射性炭素年代測定でおよそ10,800年前とされ、ダイズ属と思われる種子圧痕が発見された表裏撚糸文土器です。
左上の小さな孔が、種子圧痕になります。
尚、詳しい報告や展示についての情報は、随時このブログでも紹介していきます。