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常設展示ちょこっと改修 石器の展示も変えました!

 栃原岩陰遺跡では、小型の石器がおよそ4700点出土していますが、これまでは、石鏃と代表的なスクレイパー類の一部を展示しているのみでした。
 しかし、ここまでの研究では、厚さ約560cmの遺物包含層の中で、深さによって内容が変化することが分かってきています。
 例えば、-400cm以下では、小型三角形の石鏃や拇指状掻器(皮なめしに使う石器)が多いこと、小型で板状の原石が含まれることがあげられ、逆に-300cmより上の層では、やや大型の石鏃や、残核(石器製作に使われなかった部分)、さらに黒曜石以外の石器も目立つようになるなど、いくつかの違いが認められます。

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 今回は、これらが視覚的に分かるような展示を目指してみました。解説と合わせると、時期による変化を理解してい頂けると思います。 きっとそこには、道具の変化だけでなく、黒曜石をはじめとした石材の入手方法など、縄文人のライフスタイルの変化が隠されているのでしょう。

常設展示ちょびっと改修 イトウと焼きハマグリ?

 本当に少しづつですが、常設展示の改修を行っています。新しい研究成果をお届けするのも、博物館の仕事の一つです。

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 栃原岩陰遺跡では、約160点の魚の骨が出土していますが、これまで展示では、単に「魚の骨」とされていました。これらを再鑑定した樋泉岳二氏によると、多くはサケ属の椎骨(背骨)でした。
 しかしその中に一点、これらとは別のイトウのものが見出されました。イトウは、現在はサハリンから北海道に生息する大型のサケ科の一種ですが、縄文時代早期での生息範囲や、内陸部の遺跡で発見された意味など、様々な研究課題が浮かんできます。

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 こちらは貝。栃原岩陰遺跡からは、カワシンジュガイを中心に約1900点の淡水生の貝が見つかっています。吉永亜紀子氏の観察によれば、これらの中に穿孔されているものや、刃部をもつものが含まれるようです。
 これまでは単に食用と考えられてきた淡水貝について、道具という新しい視点が生まれました。


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 また、ハマグリが焼かれていたことも分かりました。今のところその理由は不明ですが、これも今後の課題と言えます。

これからも、新しい視点からの展示に、ご期待ください。

ミニ展示 跡芝遺跡の縄文中期土器

 当館では、現在、館内レイアウトの見直しを行っておりますが、空いたスペースを利用し、ミニミニな展示をはじめました。第一弾は、先日『北相木村考古博物館報 Vol.4』で、芹沢一路さんによって報告された、村内跡芝遺跡の縄文中期土器です。

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 土器の詳しい特徴は芹沢さんの報告を参照していただき、この機会に、是非実物をご覧ください。造形的にもなかなかに素敵で、学術的にも興味深い土器ですよ。

 ライティングは、これから頑張ります!