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常設展示何気に改修 栃原岩陰遺跡の奇跡・骨角器

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 縄文時代の遺物と言えば土器や石器が一般的ですが、これは土器石器が土の中でも腐らずに残りやすいためです。そしてもちろん、縄文時代の生活が、土器と石器のみで成り立っていたわけではありません。ですから条件さえ良ければ、動物の骨、植物遺体、貝殻、またそれらを材料にした道具などが見つかることがあります。
 栃原岩陰遺跡は、山間部の遺跡としては非常に珍しく、これらが多量に出土しており「1万年前のタイムカプセル」とも呼ばれます。しかし、このうち骨角器と呼ばれる動物の骨や角や歯で作った道具については、研究があまり進んでいません。シカやイノシシなどの動物を解体し、骨を割って磨いて仕上げたことは確かですが、形状も不可解なものが多く、なんのための道具か分かっていないものが多いのです。
 今回はこの骨角器の類を、なるべく一箇所に展示してみました。皆さんも実物を見て、骨角器の謎に挑んで見てください。

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現在、およそ70点の骨角器を展示しています。

常設展示ちょこっと改修 石器の展示も変えました!

 栃原岩陰遺跡では、小型の石器がおよそ4700点出土していますが、これまでは、石鏃と代表的なスクレイパー類の一部を展示しているのみでした。
 しかし、ここまでの研究では、厚さ約560cmの遺物包含層の中で、深さによって内容が変化することが分かってきています。
 例えば、-400cm以下では、小型三角形の石鏃や拇指状掻器(皮なめしに使う石器)が多いこと、小型で板状の原石が含まれることがあげられ、逆に-300cmより上の層では、やや大型の石鏃や、残核(石器製作に使われなかった部分)、さらに黒曜石以外の石器も目立つようになるなど、いくつかの違いが認められます。

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 今回は、これらが視覚的に分かるような展示を目指してみました。解説と合わせると、時期による変化を理解してい頂けると思います。 きっとそこには、道具の変化だけでなく、黒曜石をはじめとした石材の入手方法など、縄文人のライフスタイルの変化が隠されているのでしょう。

常設展示ちょびっと改修 イトウと焼きハマグリ?

 本当に少しづつですが、常設展示の改修を行っています。新しい研究成果をお届けするのも、博物館の仕事の一つです。

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 栃原岩陰遺跡では、約160点の魚の骨が出土していますが、これまで展示では、単に「魚の骨」とされていました。これらを再鑑定した樋泉岳二氏によると、多くはサケ属の椎骨(背骨)でした。
 しかしその中に一点、これらとは別のイトウのものが見出されました。イトウは、現在はサハリンから北海道に生息する大型のサケ科の一種ですが、縄文時代早期での生息範囲や、内陸部の遺跡で発見された意味など、様々な研究課題が浮かんできます。

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 こちらは貝。栃原岩陰遺跡からは、カワシンジュガイを中心に約1900点の淡水生の貝が見つかっています。吉永亜紀子氏の観察によれば、これらの中に穿孔されているものや、刃部をもつものが含まれるようです。
 これまでは単に食用と考えられてきた淡水貝について、道具という新しい視点が生まれました。


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 また、ハマグリが焼かれていたことも分かりました。今のところその理由は不明ですが、これも今後の課題と言えます。

これからも、新しい視点からの展示に、ご期待ください。